フェアトレードとフェアトレード認証とまるたけ堂珈琲
今年に入って、学生さんやお客様から当店とフェアトレード認証について連続してご質問を頂きました。
せっかくなので、当店の取り組みと考え方を書いてみたいと思います。
まずフェアトレードとは何でしょうか。
「フェアトレード認証製品を購入することは、開発途上国の生産者をサポートすることに繋がります。」とフェアトレード認証団体のホームページには書かれています。
どういう事でしょうか。
コーヒー豆は生産国の多くが発展途上国で、一方で価格はニューヨークとロンドンの国際市場で決まる先物商品です。
そのため交渉力のない小規模生産者達は生産者とはかけ離れた世界で決まった価格に安く買い叩かれるという事もおきています。
それに対してフェアトレードでは、個々の小規模農家が生産者組合を作り生産能力を高めたり交渉力を身につけ組織を発展させたり、と言った事をフェアトレードの利益によってできるようになります。
フェアトレード商品は最低価格とプレミアムの保証により、生産者は安定した生活を送り、環境に無理な負荷を掛けることなく良質な作物づくりに励むことができる という活動です。
昨今SDG’sが言われるようになりましたが、根っこは同じ方向の活動だと認識しています。
そんなフェアトレードの活動に対する当店の実情と考えです。
オープン当初よりフェアトレード認証を取得したコーヒー生豆を仕入れています。
ただ、当店としてはフェアトレード認証を取得していませんので、認証商品としては販売していません。
理由のひとつは、フェアトレード認証のコーヒー豆を仕入れている理由は、生産国、現地の応援の意味合いが大きいからです。
僕たちコーヒー店が美味しいコーヒーを焙煎して飲めるのも、精魂込めてコーヒー豆を栽培してくれている方がいての事だからです。
でも、認証商品だから買う訳ではありません。
僕たちのお客様に美味しいコーヒーを飲んで頂けるよう品質や味の良いコーヒー豆しか仕入れていません。
必然的にスペシャリティなコーヒーになるのでコーヒー豆の価格もスーパーで安売りしているものとは全然違います。
高品質なものをしっかりとした値段で買う事で、現地の方も高品質な商品を作るようになる。その良いスパイラルが結果として現地の方の所得向上と発展につながると考えていて、それに合致する商品がフェアトレード認証商品だったという事です。
ではここまで考えていて、当店で認証を取得していないのか。
主な理由は2つあります。
1つは費用のこと。フェアトレード認証もタダではないので年会費と売り上げに応じた費用がかかります。
その費用は結果として商品価格に反映します。
有機認証と違って、商品価格に対して大きすぎる価格ではありません。
それでもやるかやらないか、経営者として判断に迷っていて、現時点では認証取得までできていない状況です。
もう一つはサプライチェーンの問題です。
コーヒー豆って60kgや30kgの麻袋が最小単位です。
大量に使う豆はその単位で仕入れますが、少量の場合は間に入っている商社さんが小分け販売をしてくれていて、結構活用したりしています。
この商社さんは大手を除いてフェアトレード認証を取得していないところが多いです。
ですから小分け作業をすると認識対象外になってしまって、商品の仕入れに限界があります。
ですので、当店の様な零細にはお金と流通の課題があり、認証取得まで辿り着いていないのが現状です。
でも認証はとれないかもしれませんが、今後も当店の求める品質や味を満たすフェアトレードのコーヒー豆があれば取り扱っていきたいと考えています。
今回、特に学生さんが熱心に話を聞いてくれて、SDG’sなりフェアトレードなりの活動が広い世代で広まっているんだなぁと感じています。
フェアトレード商品だから売れるんではなくて、フェアトレードが当たり前の時代になるといいなぁと思っています。
若い子の熱意を感じて、日本の未来は明るいなぁと感じています。
※ここまでは、2022年1月21日のInstagramの投稿を加筆修正しています。
フェアトレード認証とコーヒー豆の小分け作業
※ここからは2022年1月22日のInstagramの投稿を加筆修正しています。
コーヒー豆って2枚目の写真の様に麻袋に入って届きます。
これは30kgで軽い方なのですが、多くは60kgか70kg単位で輸入されます。
メインで使う豆はこの位はすぐに使ってしまえますが、ネックは輸送が重かったり置き場所をとる事。
数年前にギックリ腰をした店主には非常に荷が重い(本当に重い)作業です。
そのため、ものによっては商社さんで小分けにしたものを購入したりします。
その小分けにした物が下の写真で、大きい方が5kg、小さい方は1kgです。
1kgは新商品のテスト様にサンプルで取り寄せる事が多く、5kgだと置き場所も取らず女性スタッフでも運べるので重宝しています。
ここで先ほどの小分けのお話しにつながってくる訳ですが、これはフェアトレード認証に限った事ではなく、オーガニックの認証も同じですが、「生産者」「輸入組織」「卸」「加工」などの最終消費者に届くまでの各工程でそれぞれ認証が必要です。
認証の連鎖が繋がらないと認証商品としては名乗れません。
「卸」も認証が必要なので小分け作業したものは認証マークが取れないという事のようです。
この各工程で、自身が認証を取得していなくても、原材料に認証品があるからとしてオーガニックやフェアトレードを謳っているところもありますが、それは言い方は悪いですが認証のイメージをタダ乗りですね。
ここで前の投稿で書いた「◯◯が好きな店」と「◯◯で儲ける事が好きな店」の◯◯の部分にオーガニックなりフェアトレードなどを認証を当てはめる事ができます。
認証が目指す活動を心から応援している店、自分達の考えに認証が合致している店は費用を負担して認証を取得しているでしょうし、儲けたい人はタダ乗りするんでしょう。
僕たちは想いはありますが、色々な部分で有機にしてもフェアトレードにしても認証取得までいけていません。
でもタダのりはしたくないので認証取得商品としてコーヒーを製造していません。
だから認証商品としては取り扱いができないけど、想いだけは持っているんだぞ、という事だけはお伝えしたくて、このブログの記事になりました。
文章では伝えきれない部分も多々ありますし、僕たちもまだ勉強中です。間違っている部分もあるかもしれません。
だから、このような想いや活動興味がある方はぜひお店に来ていただいてお話しさせてください。間違った部分のご指摘も歓迎です。お待ちしています。
最後に誤解がない様に追記します。
オーガニックにしてもフェアトレードにしても、認証マークがついたコーヒーとかカカオの最終的な商品の形で仕入れそのまま販売するだけなら販売店で認証の取得は要りません。
だからフェアトレード商品を仕入れて販売するスーパーや小売店、商店さんはタダ乗りではありません。むしろ広めてくれている大切な存在です。ご安心くださいね。
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