「市販のコーヒー豆の品質が落ちてきていませんか?」
とお客様よりご相談を受けることが最近増えてきました。
コーヒー豆は農作物ですので、同じ産地、同じ農園、同じ品種でも年によって出来不出来はあるのですが、それ以上に例えば不良豆が混ざっている頻度が増えていて、味が低下してきているというご心配です。
それはもしかしたら、コーヒー豆の出来具合というよりも、そのお店の買い付けているコーヒー豆の品質が下がっているのかもしれません。
コーヒーの味の6割はコーヒー生豆で決まると言われています。
残り3割は焙煎、1割が抽出。だからどんなに高価な焙煎機で完璧に焼いても、ベテランの方が焙煎しても、原材料のコーヒー豆がおいしくなければ、おいしいコーヒーはできません。
昨今、コーヒー生豆の価格が大幅に値上がりしている事はニュースにもなっていてご存知の方も多いと思います。
実際に、コーマーシャルコーヒー(一般的な品質のコーヒー豆)の代表であるブラジルのNo.2は、数年前には400円/kg代だった価格が、一時は1800円/kg程度まで上昇しました。
原材料の高騰を販売価格に反映できていないお店や企業さんはどうするか?利益を減らすかより安い材料に変更するしかありません。
より安い原材料というと、コーヒーの場合は品質が劣るコーヒー豆の購入という事になります。
写真1-2枚目は、昨年視察に行ったインドネシアのコーヒー農園で見た現地でのトレーニングの様子です。
この農園では自社農園のコーヒー豆に加えて、近隣の農園で栽培したコーヒーチェリー(まだ果実がついているコーヒーの実)を購入して、精製して出荷しています。
近隣の農園から購入するコーヒーチェリーの価格は抜き取り検査による品質チェックで決まります。
欠点豆、未成熟豆など品質不良が多いと買い取り価格は下がり、不良豆が少ない高品質のものは高く買い取ります。
その品質チェックをして「これはOK」「これはNG」と視覚的にわかるようにするトレーニングの様子になります。
ここで言いたいのはトレーニングについてではなくて、不良品の多い品質の低いコーヒーチェリーは現地でも低価格で取引されているという実態で、安いものには理由がある。その理由の一つとして紹介させていただきました。
他にも、ハンドピックの回数を減らしたり省いたり、インナーバックを省いたりなど、コストを下げることで品質も下がる事がたくさんあります。
コーヒーに限らず、急激な原材料費高騰に晒されている業界は品質を下げてでも価格上昇を抑えるか、品質を維持して価格上昇しても買っていただける商品を作るか2極化しています。
どちらを選ぶか、お店や企業の姿勢が問われる時代になってきたようです。