遠州ネルフィルのご紹介
コーヒーをドリップするときにフィルターを使います。
一番一般的なのは紙製のペーパーフィルターですが、他にも金属メッシュのフィルターや布製のネルフィルターや陶器製のフィルターなど様々な種類があります。
それぞれの素材や形状によって味の出方が変わるのですが、今回ご紹介する「遠州ネルフィル」は布製のフィルター。
ネル生地と呼ばれる片面を起毛した綿の生地を使ったフィルターです。
遠州ネルフィルの特徴
遠州ネルフィルの特徴を簡単に紹介すると、
① 繊維の産地の一つ、遠州地方でつくられたネル生地を使っていること
② ペーパードリップと同じ陶器製などのドリッパーにセットして、ペーパーフィルターと同じ要領でコーヒーが抽出出来ること
③ 洗って繰り返し使えること
④ ネルドリップの濃厚な味わいを手軽に楽しめること
が挙げられます。
布製のコーヒーフィルターの一番の特徴は③の洗って繰り返し使えること。
遠州ネルフィルも布製のコーヒーフィルターのため、洗って繰り返し使えます。
何回まで繰り返し使えるかは、洗い方やお手入れの方法にもよるのですが、店主やスタッフが試した結果では30~50回以上は繰り返し使用しても問題ありませんでした。
繰り返し使うことで資源を有効活用することができます。
また、布製のネルフィルターは布の目が粗く、油の分子が網目をすり抜けることができるため、油分を通すことができます。
これは「④ ネルドリップの濃厚な味わいを手軽に楽しめること」につながります。
どういうことかというと、布製のフィルターは油の分子より目が粗いため、油分を透過することが出来ます。ネルフィルターでドリップしたコーヒーの表面にうっすらと油が浮いているのはこのためです。
一方、紙製のペーパーフィルターは紙の目が詰まっていて油の分子より細かいため、物理的に油分が通りません。
コーヒーの油は旨みの素になります。そのため、ネルフィルターで淹れたコーヒーは濃厚な味わいが楽しむことが出来ます。
遠州ネルフィルの誕生秘話
「ネルフィル」は遠州でつくられたネル生地を使っています。
遠州ネルフィルの特徴「① 繊維の産地の一つ、遠州地方でつくられたネル生地を使っていること」と繋がりますが、古くから織物の産地であった遠州地方では、いまでも繊維産業がおこなわれています。
特に遠州地方で織られた生地は品質が高く、有名アパレルブランドなどでも使われているものもあります。
綿花から糸を紡ぎ、織布工場で織られた生地は縫製工場に運ばれますが、布を織った際に複数の折り傷がついた布は「B反」と呼ばれてアパレル等のブランドは買ってくれないため、出荷できずに多くの場合は廃棄されています。
この廃棄されてしまう布を有効利用できないかと活動をされているのが、静岡県浜松市北区にある ぬくもり工房 の代表の大高さんです。
オープン当初よりお付き合いのあった大高さんは幾度となく当店に来店頂いていて、まるたけ堂珈琲が布製のネルフィルターでハンドドリップしていることをご存じでした。
このご縁から、当店と一緒にコーヒー向けに布製のフィルターを作れないかとお声がけをいただき、試行錯誤の末に一緒に作り出したのが、今回ご紹介している遠州ネルフィルです。
遠州ネルフィルの使い方
ここからは遠州ネルフィルの使い方について紹介します。
初めに新品を使用する前に、水でもみ洗いをして糊を落とした後、10分ほど煮沸します。
この時に、コーヒーカスと一緒に煮ると布の匂いが取れやすくなります。
コーヒーカスはそのまま煮るとネル生地にくっついてしまいますので、市販の麦茶の茶葉を入れられる不織布の袋などに入れて煮沸することをお勧めします。
使用前に一度ネルフィル本体を濡らして、乾いた布で水気を軽く拭き取ってから、ドリッパーにセットしてご使用ください。
ドリップの方法やコーヒー豆の分量はペーパーフィルターと同様で大丈夫です。
遠州ネルフィルはコーヒーメーカーでも使用可能です。
ペーパーフィルターの時と同じようにコーヒーメーカーにセットしてください。
遠州ネルフィルの使用後の作業と保管方法
コーヒーの粉を生ごみ入れなどに捨ててから、ネルを流水でもみ洗いして、微粉を洗い流します。
毎回使用後に煮沸が出来れば一番衛生的であり、またドリップした際のお湯の流れが良くなります。
毎回煮沸まで手間がかけられない場合は、流水でよくもみ洗いをしてください。
洗った後は、ネルフィルを保管します。
保管方法は主に2種類あります。
① 天日などで完全に乾燥させてから保管
② 水道水に漬けて冷蔵庫で保管
どちらの方法でもかまいませんので、やりやすい方法で保管してください。
②の水道水に漬ける場合は、浄水は使用しないでください。水道水に含まれるカルキがカビの繁殖を抑えるため、カルキの入った水でつけて保管をしてください。
定期的なお手入れ
遠州ネルフィルを使用後に5〜10分程煮沸すると、殺菌ができ、においを軽減します。
一般的な布製のネルフィルターのお手入れと同じです。(写真は一般的なネルフィルターを煮沸している様子)
フィルターに詰まった微粉がとれてお湯の流れが良くなります。
可能であれば使用後に毎回、毎回できない場合もコーヒーをドリップした時にお湯の流れが悪くなってきたら煮沸してください。
ネルフィルターの一番手間のかかる工程ですが、煮沸を行うことで臭いがとれて、目が詰まりがなくなって抽出が上手くできるようになります。
遠州ネルフィルの詳しい情報
遠州ネルフィルですが、浜松企業ナビ「SOU」さんで紹介いただきました。
伝統業界への新提案!今、遠州織物の産地ではじまるSDGsへの取り組み
https://www.hamamatsu-mononavi.jp/column/detail/33
こちらのページでは、ぬくもり工房代表の大高さんとまるたけ堂珈琲店主の竹村の対談形式で遠州ネルフィルの誕生秘話などを掲載して頂いています。
あわせてご覧頂ければ嬉しいです。
遠州ネルフィルは、
ぜひご利用ください。