当店では焙煎前に生豆を水で洗浄し、乾燥させてから焙煎を行います。
通常、生豆は水分含有率が10%以下の状態で輸入されます。水洗することで水分含有率が上がりますが、その分焙煎初期に時間をかけて水分抜きをしています。焙煎前に生豆を洗っている珈琲屋は少数派だと思います。
初めて焙煎を習った時、「水分含有率は焙煎の重要な要素だから、濡らすなんてとんでもない」と教わりました。でも「口に入れるモノなので洗わないと汚くないですか?」と聞くと、「豆の表面の薄皮がとれるので問題ない、高温で焼くので菌も死ぬ」とのこと。きっと業界の常識だろうと思います。
コーヒー生豆はほぼ100%が輸入品です。生産地には発展途上国や設備が十分に整っていない地域も多くあります。全てが日本の農家のようにきれいに洗浄してパックして・・・の輸入ではありません。
また、コーヒーの生豆は有機JAS認証では無い場合、検疫所で燻蒸処理をされます。病害虫を国内に持ち混ませない為の処理ですが、強い薬品が使われています。燻蒸は簡単にいうとバ○サンを焚いた部屋に農作物を置いて害虫を駆除します。害虫を持ち込ませないという面では重要な処理と思いますが、人体への影響はどうなのでしょう?
少しでも影響を減らす方法は無いか考えた結果が生豆の洗浄でした。現地の埃や汚れも取り除くことが出来、一石二鳥です。
でも、このプロセスは手間がかかります。生産効率は確実に落ちます。しかし、自分が口にするのが嫌なものを売ることは出来ない。皆さんに安心してコーヒーを飲んで頂きたい。だからコーヒー豆も洗っています。
当店のコーヒーは後味がスッキリしているとの感想を頂く事があります。毎日洗っている事も美味しい珈琲の1杯につながっていれば嬉しいです。