心と身体がつながる、心地よさ
ヨガのレッスンを初めて受けた生徒さまに「本当に気持ち良かった、すっきりした」とおっしゃっていただくことがありますが、レッスンを続けていただくうちに「普段の生活でも自分の呼吸を意識するようになった」と、感じ方に変化がみられるようになります。こういった日常での変化に生徒さま自身が気づいたときや、心身ともに気持ち良いと感じてくださるときは嬉しく、やりがいを感じる瞬間です。くつろぎ庵のヨガ教室では、スポーツやエクササイズを目的としたヨガとは異なる、心と身体の関係性にアプローチするヨガを実践しています。
不調の原因を知り、身体を整えることで軽やかに
私自身、前職の保健師時代、日々たくさんの方々と関わり、今までの人生で経験したことのない、まったく違う環境や価値観をお持ちの方のお宅に家庭訪問するなどしてきました。そんな毎日の中で、知らず知らずのうちにストレスが溜まっていってたように思います。一方で、転倒予防教室など足腰を鍛えたり、生活習慣病予防や運動系の教室も担当していました。その内容は、糖尿病や高血圧、生活習慣病予備軍の教室など多岐にわたります。そして筋トレやウォーキングの教室を担当していた時期に、たまたま本屋さんでストレッチの本を買おうとしていたところ、ふとヨガの本を手にとっていたのが、私とヨガの出会いでした。
それをきっかけにシンプルにストレス発散として、ヨガに引き込まれるように。爽快感やほぐれる感じが合っていて、みるみるうちにヨガにはまってきました。その後、本格的にヨガに取り組む中で、自身の身体の不調の原因が自分なりに理解でき、身体がどんどん楽になっていたのを覚えています。また、保健師として、予防医学について理論だけを伝えるのが嫌になり、実際に一緒に身体を動かしたいう強い思いから、ヨガ講師の資格を取得しました。どうやって健康を維持するのか。高齢の方だったら、エイジングケアをどのように行っていくのか。日常を生き生きと暮らす秘訣がヨガには詰まっています。
子宮美人ヨガから心と身体のヨガへ
くつろぎ庵のオープン当初は、子宮美人ヨガといって、女性特有のお悩みに特化したヨガ教室を中心に取り組んでいました。子宮美人ヨガは、体の「ゆるめる」「締める」のバランスを整え、体の軸を作るすべての女性のためのヨガです。女性はライフサイクルに伴い、女性特有の悩みを抱えています。実際に、骨盤周辺が歪んでいたり、かたまっていたり、冷えている方が多くいらっしゃいました。
しかし、レッスンを重ねるうちに他のお悩みを持つ方々がたくさんいらして、その不調の原因に耳を傾けていると、身体だけではなく、心の関係にもつながっているのだと改めて感じるようになりました。たとえば、日々暮らしていく中で、仕事や家事、育児、人間関係など、ストレスや心配事、ショックなことがありますよね。そうすると胃潰瘍などの病気を患ってしまいます。仕事を頑張っている方が、高血圧になるなど、徐々に身体に症状がでたり。身体の不調の根本的な原因が、心とつながっているのだと実感しました。
では、そのような方々にどのようにアプローチしていくのか。まずはゆっくり動かすポーズを実践していきます。ストレスを感じている状態だと、ポーズのスピードが自然と早くなってしまいます。その理由としては「失体感」状態にあり、ストレスで身体感覚が鈍くなっていることが理由の一つかと思います。そういった状態だと、レッスン中に気持ち良いぐらいの強さでと言ってるにもかかわらず、ハードにやってしまう場合が多いです。感覚がなくなって、がんばらなきゃいけない!と思ってしまうのですね。
ツボを押すときも、痛いくらい押してしまう方が多くみられます。くつろぎ庵のヨガは、自分の内側の気持ちに向けてもらうためのヨガなので、ポーズの完成度や柔軟性がある、ないのジャッジを競うためのものではありません。あくまでも身体の声に耳を傾けながら、自分の内側と向き合っていける時間を一緒に過ごせたらと思っています。
ほっとくつろげる空間に
くつろぎ庵は、教室の大きな窓から、庭の咲く季節の草木や花々を眺めたり、心休まる空間になっています。窓から入り込む風の匂いや、枝葉の音を聞きながら、ヨガにとって大切な深い呼吸ができます。自然は私たちの味方のような気がします。五感を研ぎ澄ましながら、少しずつご自身の持つ感覚を取り戻し、健やかな身体と心を維持していってほしいですね。そして、そんな時間の積み重ねが「心と身体に、くつろぎを」感じていただける場所につながっていくかと思っています。
竹村寛子
Hiroko Takemura
1979年生まれ。静岡県浜松市出身。日本ヨーガ療法学会認定ヨーガ療法士。子宮美人ヨガ講師。看護師と保健師の資格を持ち、保健師として1万人以上の健康相談をうけてきました。子宮美人ヨガ、月経血コントロールヨガを中心に行っています。少人数クラスなので、お一人お一人の様子を見ながら、正しいポーズができているか、きめ細やかな対応をしています。